三省堂書店 BOOKS SANSEIDO

月イチ企画「北大の先生が選んだ本」第11弾更新しました!

掲載日:2018年5月21日

今月も三省堂書店札幌店と北海道大学出版会様とのコラボレーションコーナーが第11回目の更新を迎えました。

第11弾は、北海道大学大学院文学研究科教授の「押野 武志」先生をお迎え致しまして、

『文庫で読む日本のミステリ』というテーマでお送り致します。

今回もその中から3点ほど、押野先生にご選書頂いた商品をご紹介致します。

 

●『斜め屋敷の犯罪』

 

島田荘司 著  講談社発行

 

宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ「流氷館」と名づけられた奇妙な館で、奇怪な殺人が起きる。誰からも殺されそうにない人物が犠牲になり、動機は見あたらず、部屋は密室、さらには道に雪が積もっていたので出入りした人間の足跡さえない。この密室殺人の謎を解くべく、名探偵・御手洗潔が登場する。その大掛かりなトリックに乞うご期待。「館もの」の傑作。

 

●『向井豊昭傑作集―飛ぶくしゃみ』

 

向井豊昭 著  未來社発行

 

本書には、初期の社会派小説から後期のヌーヴォー・ロマンの発想を取り入れた実験的・前衛的な小説まで集められ、向井文学のエッセンスを堪能することができる。向井文学の根底には、アイヌに代表されるマイノリティや差別の問題がある。表題作「飛ぶくしゃみ」では、「アイヌとヤマトの区切りのこちら、ヤマトの側から、あちら側のアイヌを十把一からげにして、『彼等』とまとめてしまうその立位置の思想性」が問われている。

 

●『妖怪学の祖 井上圓了』

 

菊地章太 著  角川学芸出版発行

 

明治時代、全国各地を歩いて膨大な量の怪異談を収集し、「妖怪博士」「お化け博士」と呼ばれた圓了の評伝。妖怪撲滅の使命に燃えた圓了は、不思議な現象を、合理的に解明しようとする。圓了の「妖怪学」は、妖怪を民間信仰と捉える柳田の「民俗学」の主流からは、外れていくことになるのだが、現代において、圓了の精神を正統に引き継いだ京極夏彦というミステリ作家が現れる。『姑獲鳥の夏』と併せて読みたい一冊。

 

他にも多数、押野先生にはご選書頂きました。是非、当店の売場にてご覧下さい。

 

 

来月も更新予定です!!今後の企画にご期待下さい。