三省堂書店札幌店と北海道大学出版会さまとのコラボレーションコーナーが31回目の更新を迎えました。
第31弾は、北海道大学大学院教育学研究院教授の辻智子先生と、同大学院文学研究院教授の水溜真由美先生をお迎えいたしまして、
『女性労働とシスターフッド』というテーマでお送りいたします。
今回もその中から3点ほど、辻先生、水溜先生にご選書頂いた商品をコメントとともにご紹介いたします。
●『労働をめぐるシスターフッド』
辻 智子・水溜真由美 編著 北海道大学出版会 発行 本体価格:4,500円
多くの女性にとって、生きることは働くことでもあった。戦間期における女性労働の多様化は女性たちの中に分化と序列を生んだ一方で、その立場の脆弱性を浮き彫りにした。女性たちはこの状況にどう向き合ったのか。「文学」「運動」「研究」の分野で活躍した7名の女性と「無名」の女性労働者たちに光をあて、労働が媒介した女性同士の連帯の一端を明らかにする。
●『まっくら:女坑夫からの聞き書き』
森崎和江 著 岩波書店 発行 本体価格:800円
戦前の筑豊炭田では、男性と女性がペアになって坑内で採炭労働に従事していました。本書は、戦前に坑内労働に従事した女性たち11人からの聞き書きです。坑内労働は危険で過酷な肉体労働でしたが、本書の聞き書きから、女性たちが坑内で働くことに強い誇りを持っていたことがうかがえます。女性労働者の肉声を再現する本書は、オーラルヒストリーの先駆的な著作としても高く評価されています。(水溜)
●『農漁村女性の記録 女たちが語る歴史(上)北海道・東北・上信越他篇』
川田文子 著 「戦争と性」編集室 発行 本体価格:2,200円
明治生まれの女たちの聞き書きが多数収録されています。著者は、1970年代に全国各地の農山漁村をたずね歩き、女たちがどのようにして生きてきたのか、その語りに耳を傾けました。働くこと、子を産むこと、育てること、食べてゆくことは容易ではなく、多くの場合、苦労の連続でしたが、その語りからは、たくましさとすがすがしさも伝わってきます。戦争中の体験談も生々しく「満州」からの引き揚げの語りは貴重な歴史証言です。現代へとひき継ぐべき貴重な復刻。下巻である、『うない〈女性〉の記録 女たちが語る歴史(下)沖縄篇』(「戦争と性」編集室、2023年)もおすすめしたい。(辻)
他にも辻先生、水溜先生には多数ご選書頂きました!リストは下記よりダウンロードできます。