三省堂書店 BOOKS SANSEIDO

月イチ企画「北大の先生が選んだ本」第6弾更新しました!

掲載日:2017年11月18日

今月も三省堂書店札幌店と北海道大学出版会様とのコラボレーションコーナーが第6回目の更新を迎えました。
第6弾は、北海道大学スラブ研究センター共同研究員「井澗 裕」先生をお迎え致しまして、

『悪人を味わう7つの歴史物語』というテーマでお送り致します。

今回もその中から3点ほど、井澗先生にご選書頂いた商品をご紹介致します。
今回は博士との”会話形式”という形でのコメントを井澗先生より頂いております。

●『モンタイユー:ピレネーの村 1294-1324

エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ 著(井上幸治訳) 刀水書房発行

※堪能すべき悪人:ピエール・クレルグ
「本作は古今の歴史書の中で<最もキャラの立った悪人>が暗躍している傑作じゃ」
「14世紀の異端審問文書に基づき、フランスの小さな山村モンタイユーの住民の、人生観・信仰・生活様式などを克明に描いた名著です」
「司祭ピエール・クレルグは自らも異端カタリ派でありながら、村人を脅して支配し、金と女を欲しいままにする破戒僧じゃ。彼奴は村娘のみならず、城代夫人にもその毒牙にかけ、村長の兄と結託して…」
「みなさーん、フランス・アナール学派の金字塔で、正真正銘の専門書ですからね」

 

●『新装版 間宮林蔵』

吉村昭著 講談社発行
※堪能すべき悪人:間宮林蔵

「博士、間宮林蔵を悪人扱いして大丈夫ですか?」
「まあ、たいていの伝記では偉人となるわけじゃが、本作では林蔵の出世欲やら後半生の醜聞やらが描かれ、等身大の人間の姿が描かれておる」
「もちろん、先住民との交流など、樺太探検のディテールも秀逸ですね。悪人呼ばわりはダメですよ、間宮海峡で有名な大冒険家です!」
「悪人というよりはクセの強い人物というべきかの。ともあれ吉村昭の北方史関連作品はどれも秀逸じゃ」
「吉村昭なら『破獄』の方がテーマに近くないですか、博士?」
「…それを言うな」

 

●『夜と霧 新版』

ヴィクトール・E・フランクル著 (池田香代子訳)みすず書房発行

「ナチスの強制収容所を生き抜いた精神分析学者による記録と省察——と書いてしまうと、本作の真価を見失いそうじゃ」
「極限状態に置かれた人びとの言動をみつめ、生きる意味を問いかける名著です」
「『死の家の記録』が監獄の悲惨を鮮やかに再現したものであるなら、本作は収容所でみつめた人間の光と闇、善と悪の根源などを分析したものじゃ」
「悪人をたしなむためには、悪の根源に思いを馳せるべき、ということですね、博士?」
「さよう。いずれにせよ、人生の道しるべとなりうる一冊でもある」

 

 

他にも多数、井澗先生にはご選書頂きました、是非当店の売場にてご覧下さい!!

 

来月も更新予定です!!今後の企画にご期待下さい。