◆ノンフィクション◆「天路の旅人」
著者：沢木耕太郎 新潮社 税込2,640円 ISBN:9784103275237
NHKクローズアップ現代に出演された時の著者の表情が、とても清々しさに満ちていました。「これが仮にノンフィクションの作品としての最後になることがあったとしても納得する」と言わしめた作品が本書です。第二次大戦末期、中国の奥深くまで潜入し、密偵となった西川一三とは。西川は人間の力ではどうしようもない大自然の意思を「天」と感じ、天の路を進んでいく、その姿に読者は惹き込まれます。
◆文庫◆「シャイロックの子供たち」
著者：池井戸潤 文藝春秋 税込770円 ISBN:9784167728038
「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊。」という池井戸潤の言葉がオビに掲載されています。この言葉で本書を手に取った方も多いのでは。今回は映画化のタイミングでもあり、再読も含め、いま多くの方々に読まれています。東京第一銀行長原支店で働くさまざまな行員たちを描いた群像劇の本書は、良質の短編集の切れ味と長編ミステリの周到さとを併せ持った作品です。
◆ビジネス◆「半導体戦争」
著者：クリス・ミラー ダイヤモンド社 税込2,970円 ISBN:9784478115466
なぜ半導体不足が続くのか、なぜ世界一だった日本の地位が凋落したのか？毎日のようにニュースを賑わせているテーマです。本書では、そもそも半導体とはどのような資源なのか、から今後の展望まで、ジャーナリスティックなタイトルですが、経済史を専門にする歴史学者の著者が、歴史的な推移に大きく重点を置いて解説します。