三省堂書店 BOOKS SANSEIDO

【書店員のおすすめ!】2023年2月

掲載日:2023年2月10日

 

◆文庫◆「サーチライトと誘蛾灯」

 

 

著者:櫻田智也 東京創元社 税込792円 ISBN:9784488424213

著者櫻田智也のデビュー作の本書は、昆虫好きの主人公が探偵役の連作短編集です。普段はとぼけた感じなのですが、事件の謎に対しての推理の切れは鋭い。ブラウン神父や亜愛一郎シリーズに連なる創元推理文庫らしい作品の登場です。それぞれが切ない物語であっても、主人公の飄々とした振る舞いが読後感を爽やかなものにしています。収録作の中では『火事と標本』が特におすすめです。

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◆ビジネス◆「小さく分けて考える

 

 

 

著者:菅原健一 SBクリエイティブ 税込1,650円 ISBN:9784815616472

一生懸命がんばっているはずなのになかなか成果がでない…、という悩みに対して、考え方が間違っているのですよ、と著者は言います。そして、その解決策はすごくシンプルなんです、とも。とにかく要素を小さく分けて、ひとつひとつを具体的にとらえることが出来るまで分解すること、そして主な要素の内容別に分解の仕方を解説します。

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◆新書◆「ゼロからの『資本論』」

 

 

著者:斎藤幸平 NHK出版 税込1,023円 ISBN:9784140886908

資本主義は放置すれば社会の富や自然の富を掠奪して破壊してしまう、とはマルクスの晩期の思想であり、その現れが現代の格差問題と気候変動であると著者は見ています。現代にマルクスを蘇らせることはできませんが、マルクスの『資本論』をベースに現代の諸問題を解決していくことを提言しています。資本主義の行き過ぎに「待った」をかけ、脱成長の社会システムへの転換が、瀬戸際の地球に生きるヒトの分相応の営みなのだと気づかされます。

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