三省堂書店 BOOKS SANSEIDO

「北大の先生が選んだ本」第22弾更新しました!

掲載日:2020年7月31日

 三省堂書店札幌店と北海道大学出版会様とのコラボレーションコーナーが第22回目の更新を迎えました。

第22弾は、北海道大学大学院文学研究院教授の「櫻井義秀」先生をお迎え致しまして、

『アジアの宗教を読む20冊 』というテーマでお送り致します。

 

【テーマ概要】
 日本人の宗教についての見方や常識は、かなりの程度、西欧のキリスト教や近代的宗教観にとらわれている。
しかも、科学技術や経済社会の発達によって宗教の役割が失われ、伝統文化や人生のスパイスとしての価値しかないというのが、リベラルでものわかりのよい知識人の物言いとなっている。
 これは世界で言えば非常識に相当する。世俗化の進展は1970年代までであり、それ以降は宗教復興が世界中で生じ、宗教の社会的役割、健康や幸せ感に与える影響など、多くの研究がなされている。
日本人の宗教に対する常識は周回遅れである。そのうえ、西欧キリスト教的宗教観も問い直しを迫られ、その際、アジアの宗教性や宗教文化に注目が集まっているのである。
 アジアの宗教を読む20冊は、私たちの狭い見識を拡張することに役立つ。

 

 今回もその中から3点ほど、櫻井先生にご選書頂いた商品をご紹介致します。

 

●『アジアの公共宗教-ポスト社会主義国家の政教関係』

櫻井義秀 編 北海道大学出版 発行 本体価格:6,200円

 

 宗教は世俗化せず、社会の公共空間で影響力を行使し続けるというのが公共宗教の概念である。西欧のキリスト教圏で提示された公共宗教論がアジア地域にどの程度当てはまるのか、また、中国、旧ソ連邦、モンゴルのように宗教抑圧や宗教統制を経てきた社会主義国家において、現在宗教が政治とどのように関連しているのかを詳細な事例研究から明らかにしている。

 

●『市民K、教会を出る-韓国プロテスタントの成功と失敗、その欲望の社会学』

金鎮虎 著 香山洋人 訳 新教出版社 発行 本体価格:2,400円

 

 韓国のキリスト教会には政治家、財閥、高級官僚から豊かな市民、そして、ありとあらゆる職種と階層の人々が集まっている。もちろん教会ごとに棲み分けはあるが、教会に通うことでコネクションや社会的機会が得られる。韓国には信者数数十万人を超える世界最大の教会もあり、時に権力や資産が世襲される。このような教会にキリスト教の精神はあるのかと 問う本書によって、韓国キリスト教会の光と影が見えてくる。キリスト教関係者はもちろん、韓国に関心のある人なら読んでおくべき書籍である。

 

●『被災記憶と心の復興の宗教社会学-日本と世界の事例に見る』

三木英 編 明石書店 発行 本体価格:3,500円

 

 阪神淡路大震災から25年、東日本大震災から9年が経過した。しかし、被災の記憶は生々しく、人々の心が癒えたとは到底言えない状況が続いている。そうしたなか、記憶のモニュメント化が人々の支えになり、こうした場所をつなぐ新たな巡礼行為も見られる。著者は日本の地震(二つの大震災に加えて濃尾、北丹後、鳥取、三河、福井、中越の地震)、伊勢湾台風の被災地における記憶とモニュメントを調査し、海外では、インド洋津波、ニュージーランド・カンタベリー地震、中国の四川地震と青海省地震を調査した。そして、被災の記憶と形象、慰霊と癒しが新しい宗教性として世界各地に生まれていることを論じている。

 

 他にも多数、櫻井先生にはご選書頂きました。是非、当店の売場にてご覧下さい。

 

 次回は今秋ごろ更新予定です!!今後の企画にご期待下さい。